私は5年間IHI船舶基本設計部に勤務した後、35年間東大で教育・研究・開発を行いながら様々な社会実現のプロジェクトを実行してきました。無我夢中の35年間でしたが、定年退職を機に、自分自身の活動を整理してみましたら、私は科学者であり、技術者であり、設計者であり、更に経営者でもあったことを再認識しました。私が中心的な役割を果たしたプロジェクトを列記してみましたら、我ながらその多さ多様さにビックリします。しかし、どのようなプロジェクトでも、成功させるためには、科学的な正しい理解、実現する技術力と設計力、そして科学と技術を成果に結び付けたり、複雑な社会で普及させるための経営力が不可欠だということが分かりました。そして、日本を成長させるためには、この中で一番獲得することが難しい経営力を企業で活躍されてる皆様に伝授することが大切と思うようになりました。できれば科学力・技術力・経営力を兼ね備えたリーダーを育てたいと思うのです。東大ではそのような気持ちで学生諸君を育ててきましたし、東大MOT試行プログラムで東大初の社会人教育も行ってきたのですが、今度は改めて社会人教育に挑戦して、少しでも社会のお役に立ちたいと思います。
松山出身。
1948年生まれ。
1972年東京大学工学系大学院修士課程終了。
石川島播磨重工業(株)を経て東京大学に勤務。
1978年工学博士。
大学院工学系研究科システム創成学専攻を担当する。
1994年より同教授。
コンピューターサイエンス(CFD)、船舶システム開発、流体力学、技術マネジメント、経営システム工学、サービス科学、社会システム工学等を専門としている。いくつかの民間技術開発プロジェクトを主導し、ニッポンチャレンジ・アメリカズカップのテクニカル・ディレクターも努めた。システム創成学科の設立、東大MOTなど教育改革にも携わる。 World Innovation Foundation フェロー。
著書に
などがある。
日経ビジネスオンラインに「経営の設計学」を288篇執筆。
1977-2011年 | 東京大学工学部船舶工学科、環境海洋工学専攻、システム創成学専攻での教育 卒業論文 約180名 修士論文 約100名 博士論文(課程)11名 |
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1977-2011年 | 実験施設船型試験水槽を管理運営 海防義会寄贈(昭和11年)の長さ90Mの実験水槽、産学連携プロジェクト(実験サービス、設計サービス)で運営費調達 |
1998-2000年 | 工学部企画委員としてシステム創成学科の設立を担当 工学部長命により実質的な学科再編マネジメントを実行 |
2003-2006年 | プログラムマネジャーとして東大MOT試行プログラムを実施 東大初の社会人教育を実行、3年間で約100名の社会人を大学院生と混合教育(夜間) |
1995-2013年 | 企業の幹部養成プログラムでの集中講義、企業向け・一般向けなどの講演(約200回) |
1977-1982年 | 自由表面衝撃波の発見(学士院賞、恩賜賞) IHIでの商船設計経験からの直観より東大で非線形波を発見、船型設計を根本的に改革 |
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1977-1983年 | 船尾バルブの開発 Stern-End-Bulbを開発し船尾波を減少させる、八丈島航路「すとれちあ丸」で実証し 川崎重工が約20隻に装着 |
1979-2009年 | 船舶設計用CFD(計算流体力学)ソフトウェアの開発 非線形波も再現できる数値流体力学手法を開発し船型設計手法として普及させる 直交格子を使うTUMMACシリーズと適合格子を使うWISDAMシリーズの多数のバージョンがある。抵抗関係用、ACヨット用、操縦運動用、波浪中運動用、マルチハル用など |
1986-1993年 | 車両設計用ソフトウェア(いすず自動車)、海洋研究用ソフトウェアなどの開発 CFDの応用対象は船だけではないので、多方面に展開した |
1977-2005年 | 船型設計法研究会を主宰し、国内大手造船会社7社に新しい船型設計法を普及させる 新開発船型の普及、CFD設計手法の普及を会費制の研究会を通して行う、会費で研究室と研究施設を運営 |
1986-1993年 | 双胴水中翼船スーパージェットの開発(日立造船、瀬戸内クラフト) 揺れない安全な水中翼船をジェットフォイルの1/3の価格で実現、10隻日立造船が販売、1隻約10億円(国内では広島―松山航路に4隻就航中) |
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1988-1995年 | 超細長双胴船SSTHを開発する(IHI) 小豆島―高松航路(SSTH30)、熊本―島原航路(SSTH70)に就航中 |
1995-2000年 | 日本チャレンジアメリカズカップのテクニカルディレクター兼チーフデザイナー 1999年末予選で世界11チーム中2位になる、最速のボート、しかしマネジメントの失敗で準決勝敗退, JPN44(阿修羅)、JPN52(韋駄天) |
2000年 | 造船技術戦略会議議長(造船工業会) 世界シェアトップを1999年に韓国に奪われた、技術開発での奪回作戦のコンサルテーションを行う |
2002-2005年 | 道路公社のコンピューターシミュレーションによる経営支援システム開発 一台一台の車に属性を与えて追従モデルで走らせる一秒ごとのシミュレーション技術を開発、道路建設前の採算性の検証など多様な用途がある |
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2003-2006年 | 電力会社のLNG発電最適化システム開発 需要に合わせた系統運用からLNG船からの荷揚げまでを365日シミュレーションし、LNGタンクの最適運用を行う |
2005-2012年 | 書籍ビジネスの全体最適化プロジェクト 大手取次を中心として、書店展示の最適化から出版社の生産部数管理までを同時に行い40%に達した返本率を半分にするプロジェクト |
2006-2010年 | エレクトロニクス企業のグローバル経営支援システム開発 グローバル化が進んだ製造業では、世界数十カ国での販売が普通になったが、輸送・販売の管理不充分なことがが多く、過剰在庫・欠品・廃棄が多い、生産から販売までの統合管理システムを開発した |
2006年―現在 | 通販の進化プロジェクト サプライヤーと顧客と直接つながるワンストップ小売りサービスは顧客とのWIN―WIN関係を作り、非効率な物流・無駄な購買行動を変革する |
2008年―現在 | 二次電池による社会システムイノベーション活動 「電気は貯められる」というパラダイムシフトをビジネス化するプロジェクトを約15社の企業と推進している |
2011年―現在 | 東日本大震災復興プロジェクト プロジェクトマネジャーとして気仙広域(大船渡市、陸前高田市、住田町)を支援、ソーラー発電所(18MW)建設などの産業振興、高齢者対応コンパクトシティーの建設、地方小都市型医療・介護システム導入など |
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